2026/09/24 20:15
Ruff&として、はじめてオリジナルグッズを作りました。犬の首輪(カラー)と、リードです。
作ってくださったのは、那須高原の小さな工房、bee+bee(ビービー)。1999年に立ち上げ、犬のための道具を27年作り続けてきたお店です。色はRuff&のコーポレートカラーであるピンクとグリーン、各色20本ずつ。Ruff&のロゴの入った織りネームを縫い付けていただきました。
今回、この企画に力を貸してくださったbee+beeがどんなお店なのか。店主の成澤さんが、どんな人なのかを取材させていただきました。
旅先で出会った、作り手の人柄が滲み出るお店
はじめてbee+beeを訪れたのは、2023年の夏。Ruff&はまだ構想段階でした。愛犬との旅行の大変さって、どこにあるんだろう。それをもう一度考えたいという思いもあって、愛犬を連れて那須に出かけました。

那須街道から一本、車で3分ほど奥に入った場所。観光地の賑わいから外れた静かな一角に、そのお店はあります。並んでいたのは犬のカラー、リード、洋服、バッグ、チョーカー。
かわいさと親しみやすさが共存していて、しかも一つひとつが丁寧に作られていることが、手に取った瞬間にわかる。作っている人の人柄が、商品から滲み出ているような感じがありました。
そのときは旅先の買い物として、洋服とリードを購入して帰りました。リードは、かわいらしいいちご模様のもの。そして使い続けるうちに、第一印象は確信に変わっていきました。
気づけば、bee+beeのオンラインショップで定期的に買うようになっていました。名前入りのチョーカーもすごく素敵で、私の愛犬の首には、いまも那須で作られたチョーカーがあります。
だからRuff&でオリジナルグッズを作ろうという話になったとき、真っ先にbee+beeを思い浮かべました。自分たちが日々使い続けているものを作っている人に、お願いしたい。そう思ったのです。
「首輪はないんですか?」——bee+beeの27年
別注品の完成のお礼を兼ねて、あらためて那須のお店を訪ね、店主の成澤さんにお話を聞かせていただきました。
聞けば聞くほど魅力あふれる方で、この人にお願いしてよかったと思えるお話でした。

成澤さんは東京で、3人きょうだいの長女として生まれました。服飾の専門学校で学び、卒業後は子ども服のメーカーに6年勤めました。最初の3年はひたすら裁断。「いまでも裁断はめちゃめちゃ得意です」と笑います。後半はサンプル製作や商品企画、バイヤーとのやりとりにも関わり、生地の選び方や色柄の組み立て方を、現場で叩き込まれました。
転機は体調を崩したこと。療養のために会社を辞め、結婚。そのとき、当時まだ珍しかったMacを一台買います。1990年代の後半、パソコンがまだ大きな箱のようで、インターネットは電話回線でつなぐのが当たり前だった時代の話です。
「ネットショップというものに興味があって。ソフトを買って、本を買って、お風呂まで本を持ち込んで勉強しました」
いまでこそ、ネットで買い物をするのは当たり前。でも当時は、モノは店舗で買うのが普通でした。Webサイトで犬用品を売る店などほとんどありません。そもそもホームページを作ること自体が、専門知識のいる大仕事だった時代です。
その時代に、HTMLを独学し、ホームページを自力で組み上げる。その先見性に、まず驚かされました。
最初に売ったのは、犬のイラストをプリントしたTシャツ。ネットショップで販売しながら、フリーマーケットにも並べてみる。すると知り合いのお店から注文をいただくようになり、そこから少しずつ広がっていきました。犬の絵ばかり描いていたので、気づけば作るものがすっかり犬もの一色になっていたそうです。
そしてある日、お客さんからこう言われます。
「首輪は、ないんですか?」
これが、すべての始まりでした。人間向けのTシャツから、犬のカラーへ。そこからカラーとリードを軸に、犬のためのものを作る店へと、少しずつ形を変えていきます。
当時就職前だった7歳下の妹さんに声をかけ、二人での製作が始まりました。多いときには一日100本。生地を仕入れ、裁断し、縫い、梱包し、発送する。その全部を、マンションの一室で二人でやっていたそうです。
「妹に給料を払わなくちゃ、というプレッシャーで、ものすごく働きました。一人だったら、あそこまではやっていなかった。いまの土台は、あの時期にできたんだと思います」
ブランド名の「bee+bee」は、この姉妹時代の名残です。「小さいもの」がイメージできる「bee」。小さなものを作る二人だから、beeがふたつ。「深い意味はないんです」とご本人は言いますが、27年続いた屋号に、これ以上の由来はいらない気がします。ちなみに後日、ドメインを取るときに「+」が使えないと判明したそうです。
カラーとリードから始まったbee+beeは、いまでは洋服、バッグ、名前入りのチョーカーまで、犬まわりの道具を幅広く手がけています。ただ、そのどれもが同じ人の目を通っていて、同じ空気をまとっている。それがこのお店の一番の特徴だと思います。
那須に根を下ろすまでの、5年

那須に移ったのは、ご両親が先に移住していた縁でした。ただ、いきなり店を構えたわけではありません。
まず観光地とは無縁の、役場のあるただの田舎町に家を借りました。庭つきで家賃は5万円ほど。そこで5年、田舎で暮らしながら作って売る生活が本当に成り立つのかを試したのです。「いけるね」と確信してから土地を探し、店舗兼住居を建てました。那須高原のお店は、今年で20年になります。
場所選びで大切にしたのは『少し落ち着いた場所でお店を開きたい』ということ。那須街道から少しだけ奥まった今の立地は、そんな思いから選ばれたそうです。
いまでこそ那須は「犬と旅する高原」として知られています。でも成澤さんがお店を開いた頃、ドッグツーリズムという言葉はまだありませんでした。那須が犬連れ観光で賑わい始めたのは、15年ほど前からだといいます。つまりbee+beeは、ブームに乗って生まれたお店ではありません。ブームより先に、ここにいたお店なのです。
お店の営業は基本的に金・土・日・月。それ以外の日は、隣の工房で作る日です。「何もない休みは、ほぼゼロですね。でも、好きな仕事なので」。敷地の隣ではご主人が畑をやっていて、採れた野菜は道の駅に並びます。犬の道具と、畑の野菜。那須の暮らしがそのまま商いになっているような場所でした。
二頭の愛犬の話
お話の途中で、成澤さんが一緒に暮らしてきた二頭の犬のことを聞かせていただきました。
一頭は黒いラブラドールのロッタ。もう一頭は、目の見えないダックスフンドのチノ。どちらも、いまはもういません。
ロッタを迎えたのは、里親募集でした。那須に来て、ようやく犬が飼える暮らしになったとき、成澤さんはこう決めていたそうです。
「あれこれ選ぶのは、ちょっとかわいそうで。最初に出てきた子にしようと」
里親募集の場では、どの子も新しい家族を待っています。その中から自分の好みで一頭を選び、ほかの子を選ばないということが、憚られた。
そこで最初に出会ったのが、黒い大型犬でした。前の家で先住の猫を追い回してしまい、手放された子。「いろいろやらかす」やんちゃな性格で、車に乗せておいたお肉を丸ごと平らげたこともあるとか。そんな話を、成澤さんはただ楽しそうに話してくれました。
チノとの出会いは、東日本大震災の年にさかのぼります。
あの年、那須には捨てられた犬が多かったそうです。道の駅に置いていかれる犬。通りをうろつく犬。
ある日、郵便局へ荷物を出しに向かう途中、道端の草むらに、衰弱しきったダックスフンドがうずくまっていました。
「反射的に、拾い上げちゃったんです」
抱き上げた途端、弱りきった体からこぼれたもので服が汚れました。それでもそのまま車に乗せ、荷物を出し、ご主人に電話。「拾っちゃったんだけど、どうしよう」。返ってきた答えは「とりあえず連れて帰ろう」でした。
動物病院に連れて行き、迷い犬かもしれないと警察にも届けました。でも飼い主は現れませんでした。「もう、うちの子だね」。その会話から、チノという名前がつきました。推定3歳。生まれつきなのか、捨てられてからの日々によるものなのかはわかりません。ただ、出会ったときから目は見えていませんでした。それから大きな病気ひとつせず、今年の初めに、成澤さんのもとで天寿を全うしたそうです。
ロッタもチノも、選んで迎えたというより、成澤さんのもとに流れ着いた犬でした。そういう出会いを、そのまま受け入れてしまう温かさが、成澤さんにはある気がします。
「自分がいいと思うものしか、作らない」

ものづくりの話になると、成澤さんの言葉は静かに、でもはっきりします。
「いま何が売れているか、流行っているか、という読み方ではものを作らないんです。自分がいいと思ったものを作る。結果的に、ブランドとしての統一感が出ているんじゃないかと思っています」
お客さんから「こういうデザインがいい」と言われても、受け入れないこともあるそうです。頑固なのではありません。bee+beeの棚に並ぶすべてが、一人の目を通っている。だからどれを手に取っても裏切られない。「ワンちゃんに、ごてごてと余計なものはつけたくない」——シンプルさは、その姿勢の表れです。
そして、目に見えない部分にこそ、27年の経験があります。

象徴的なのが、金具の話でした。手芸店で普通に売られている金属リングの多くは、針金を曲げて輪にしただけで、どこかに切れ目があります。手で引っ張ったくらいではびくともしません。でも、犬が突然走り出す瞬間の力は、人の想像を超えます。切れ目のあるリングは、その一瞬で「パンッ」と開くことがあるのです。
開業して間もない頃、それを一度指摘されたそうです。以来、bee+beeのカラーは溶接で閉じられたリングしか使いません。寸法もパーツも、何十年も同じ仕様を守り続けています。何十年もの実績と信頼に基づく品質なのです。
生地の目利きと色の感覚は、子ども服時代の遺産だといいます。「Tシャツの襟の布と本体の布には相性がある」「同じ商品でも、地域によって好まれるカラーリングが違う」。アパレルの現場で覚えたことのすべてが、いま犬の道具に注がれています。
その品質を裏付ける数字があります。bee+beeのお客さんの、およそ7割がリピーターだそうです。楽天のようなモールには出ていません。広告も打っていません。買った人が知り合いに紹介したり、SNSに愛犬の写真を載せたり。それを見た人がまた買いに来る。犬を看取った人が、新しい子を迎えて、久しぶりに注文をくれることもあるといいます。
犬の一生を越えて、選ばれ続けているお店なのです。
そして、今回Ruff&のカラーとリードの別注をお願いしました
そんなお店との、はじめてのものづくりです。

頼んだのは二つ。SSサイズのカラーと、幅1.5cmのカフェリード。bee+beeが何十年も作り続けてきた定番の型をベースに、別注させていただきました。表地はRuff&のコーポレートカラーであるサーモンピンクとエメラルドグリーンの2色、裏地はどちらもグレー。bee+beeの通常ラインナップにはない、この企画のために組んだ配色です。そして、Ruff&のロゴの入った白い織りネームを、カラーにもリードにも縫い付けていただきました。
型は、あえて変えていません。寸法もパーツも、27年間事故なく使われ続けてきた仕様のままです。信頼できる型の上に、Ruff&の色とタグを載せる。それが今回の別注の考え方でした。
取材の中で、成澤さんがこんなことを言ってくださいました。
「別注のお話をいただいたとき、Ruff&さんにはデザイナーさんもいて、色やタグのバランスまで考えられたご依頼だったので、素敵なものが出来上がるなと思いました」
Ruff&のデザイナーが色とタグのバランスを詰め、bee+beeの27年の型がそれを形にする。Ruff&にとってはじめての製品を、こんなに素敵な形で世に出せたこと。成澤さんに、心から感謝しています。
商品について

Ruff&別注 カラー(SSサイズ) ¥2,600(税込・送料込)
Ruff&別注 カフェリード(1.5cm幅|110cm) ¥3,000(税込・送料込)
カラー展開:サーモンピンク×グレー/エメラルドグリーン×グレー(表×裏の二色テープ)
各色20本限定。完売後の再販は未定です
適応サイズ:首まわり22〜31cm(小型犬向け)
目安犬種(〜8kg):トイプードル/ミニチュアダックス/ウェスティ/ミニチュアシュナウザー
素材:ポリプロピレン100%
カフェリードは持ち手側にもバックル付き。カフェのテーブル脚などに巻いて留められる、bee+bee定番の仕様です
白地の織りネームに、Ruff&のロゴ入り
那須の工房で、成澤さんが一本ずつ製作しています
ひとつずつ、丁寧に梱包してお届けします
なお、bee+beeの定番シリーズは、那須の店舗とbee+beeオンラインショップで購入できます。今回の別注色はそのどちらにもない、Ruff&だけの取り扱いです。逆に、この記事を読んで「定番も見てみたい」と思った方は、ぜひ那須のお店を訪ねてみてください。営業は基本的に金・土・日・月。実店舗の情報と最新の営業カレンダーはオンラインショップに掲載されています。もちろん、愛犬と一緒に入れます。
bee+beeのInstagramも、ぜひ覗いてみてください。新作や工房の様子が、成澤さんの言葉で綴られています。
40本だけ、作りました
今回の別注は、Ruff&にとって新しい取り組みです。愛犬との思い出を、記憶だけでなく、形に残るものとしても提供していきたい。そんな思いから、この企画は始まりました。
まずは各色20本、あわせて40本。小さな一歩ですが、はじめての製品をbee+beeと一緒に作れたことが、何よりうれしく思っています。
取材の帰り際、成澤さんとの雑談は、次に作るものの話になりました。ハーネス、サイズ展開、同じ配色のフードボウル。「発展していったらいいなと思っています」とも言っていただき、成澤さんと話したいろいろな展開を帰り道に妄想しながら、すっかりワクワクしてしまいました。
我が家の犬は、今日もRuff&のリードをつけて散歩に出ました。
Ruff&の別注カラーとリードも、どこかの犬の毎日に加わってくれたら、とてもうれしいです。

